1972年、建築家フランク・O・ゲーリーによりデザインされた段ボール家具シリーズ「イージー・エッジズ」から、「Wiggle Side Chair(ウィグルサイドチェア)」のミニチュアです。
「段ボールでできた椅子」と言われても、今やそれほど驚くべき発想ではありませんが・・・このウィグルサイドチェアは、強度確保のため見えない部分にスチールロッドやウッドを使用して補強しています。
この割り切りについて、賛否両論あるかとは思いますが、段ボールを使って長期の使用に耐える家具をつくるためには、良い方法だと思います。
高価な伝統的家具に対して、「誰の財布にも合う家具の提供」を目指し、作者が見つけた方法論が垣間見える気がするんですが、どうでしょうか?
さてこの製品、紙製の椅子としては非常に出来が良く、高い評価を受けることができました。
ところが評価が上がった結果として価格が高騰し、 「誰の財布にも合う家具の提供」からはかけ離れた価格になってしまったといいます。
作者であるランク・O・ゲーリーはそれが気に入らず、この商品を廃盤にしてしまったとも・・・。
確かに hhstyle.com で調べてみると、Wiggle Side Chair が ¥77,000- 、Low table set が ¥282,450- とちょっと手が出ない価格ですね。
ところで「段ボール(紙)で家具」というテーマは、デザイナーの感性を大いに刺激するのか、1960年代から現代まで様々な物が生み出されています。
しかし普段段ボールを扱っている私からみると、発想は豊かなんだけど、強度計算や長期の使用による劣化が考慮されておらず、キワモノ的な印象を受けるのも事実です。
とは言え、中には非常に良くできたものもあります。
例えば渡辺力氏の「リキスツール」は非常に優れた設計として、段ボール業界でも評価が高いです。
が、根本的なダンボールの弱点を解決しきれていない部分(特に座面)も見え隠れしています。
これを解消するならば、(コストを考えると)木材やプラスチックを使用せざるを得ないかな、と私は考えます。
思うに、渡辺力氏はこの部分について、使用するユーザーの判断(工夫)に任せたのでは、なんて深読みしてみましたが果たして?
さて、この椅子を普通に長期間使用(ファン目線で大事に使用するのではなく、あくまでも普通に使用)した後、どれほど強度が残っているのか大変興味があったので、強度を計算してみました。
ちなみに条件は『日本の環境で一年間使用した後の強度』です。
すると一年後でも、平均的な日本人の体重を支える強度が残っていることが分かり、『作者の巧みな計算の上でのデザイン』を垣間見ることができました。
荷物保管用ダンボールについての強度計算を活用するしかなく、各変数の設定も主観が入っているため、賛否はあると思いますが・・・。
さて、冒頭のミニチュアですが、よく見るとトンでもないミスを犯しています。
分かりにくい写真を使用したんですが、分かっちゃいますかねぇ?
実はあともう一種類ミニチュア用に図面を起こしたんですが、部材の切り出しが大変な上、接着中にズレてしまうなど数々の問題があるため、何か方法を考えなければ・・・というところで放置しています。
では。
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