2011年4月19日火曜日

Wiggle Side Chair

1972年、建築家フランク・O・ゲーリーによりデザインされた段ボール家具シリーズ「イージー・エッジズ」から、「Wiggle Side Chair(ウィグルサイドチェア)」のミニチュアです。
「段ボールでできた椅子」と言われても、今やそれほど驚くべき発想ではありませんが・・・このウィグルサイドチェアは、強度確保のため見えない部分にスチールロッドやウッドを使用して補強しています。
この割り切りについて、賛否両論あるかとは思いますが、段ボールを使って長期の使用に耐える家具をつくるためには、良い方法だと思います。
高価な伝統的家具に対して、「誰の財布にも合う家具の提供」を目指し、作者が見つけた方法論が垣間見える気がするんですが、どうでしょうか?

さてこの製品、紙製の椅子としては非常に出来が良く、高い評価を受けることができました。
ところが評価が上がった結果として価格が高騰し、 「誰の財布にも合う家具の提供」からはかけ離れた価格になってしまったといいます。
作者であるランク・O・ゲーリーはそれが気に入らず、この商品を廃盤にしてしまったとも・・・。
確かに hhstyle.com で調べてみると、Wiggle Side Chair が ¥77,000- 、Low table set が ¥282,450- とちょっと手が出ない価格ですね。

ところで「段ボール(紙)で家具」というテーマは、デザイナーの感性を大いに刺激するのか、1960年代から現代まで様々な物が生み出されています。
しかし普段段ボールを扱っている私からみると、発想は豊かなんだけど、強度計算や長期の使用による劣化が考慮されておらず、キワモノ的な印象を受けるのも事実です。

とは言え、中には非常に良くできたものもあります。
例えば渡辺力氏の「リキスツール」は非常に優れた設計として、段ボール業界でも評価が高いです。
が、根本的なダンボールの弱点を解決しきれていない部分(特に座面)も見え隠れしています。
これを解消するならば、(コストを考えると)木材やプラスチックを使用せざるを得ないかな、と私は考えます。
思うに、渡辺力氏はこの部分について、使用するユーザーの判断(工夫)に任せたのでは、なんて深読みしてみましたが果たして?

さて、この椅子を普通に長期間使用(ファン目線で大事に使用するのではなく、あくまでも普通に使用)した後、どれほど強度が残っているのか大変興味があったので、強度を計算してみました。
ちなみに条件は『日本の環境で一年間使用した後の強度』です。
すると一年後でも、平均的な日本人の体重を支える強度が残っていることが分かり、『作者の巧みな計算の上でのデザイン』を垣間見ることができました。
荷物保管用ダンボールについての強度計算を活用するしかなく、各変数の設定も主観が入っているため、賛否はあると思いますが・・・。

さて、冒頭のミニチュアですが、よく見るとトンでもないミスを犯しています。
分かりにくい写真を使用したんですが、分かっちゃいますかねぇ?

実はあともう一種類ミニチュア用に図面を起こしたんですが、部材の切り出しが大変な上、接着中にズレてしまうなど数々の問題があるため、何か方法を考えなければ・・・というところで放置しています。

では。

2011年4月17日日曜日

テンセグリティ

テンセグリティ(Tensegrity)とは、緊張・張力を意味する「tensional」と、完全な状態を意味する「integrity」を組み合わせた造語です。
引っ張る力と圧縮する力によって均衡を保たれた構造をテンセグリティと呼びます。
この言葉はバックミンスター・フラーが考え出したものです。
が、その仕組はケネス・スネルソンが考案したものだと言われています。
下世話な話になりますが、世界中に両者それぞれのファンがいて、どちらが考案したものか大喧嘩が続いているそうです。

閑話休題。

先日の日記で書いていたことから考えると、180度反対のアナログな方向へ行ったな、と思われるかもしれません。
が、先日取り上げたArduinoは、プログラミングやサーキット設計のハードルを下げてくれる代わりに、「どうせ動くものは作れないんだから、見かけだけの模型でいいや」という逃げが不可能になってしまいます。
つまり今までより、精度の高い工作を要求されるのです(取り組む分野にもよりますが)。

ということで、昨日はテンセグリティ作りに取り組みました。
ネットで検索してみると、様々な画像が出てきますが、テンセグリティ風のものも多いですね。
そこでもっとも基本的な形状を探し出し、作成に取り組みました。
あまりにも基本的すぎて、魅力がもう一つ伝わりませんが・・・これを使って、悪巧みを進めたいと思います。
うっしっし。

2011年4月14日木曜日

Arduino UNO

Arduino とは、単純な入出力を備えた基板と Processing/Wiring 言語を実装した開発環境から構成されるシステムである。
ハードウェアの設計情報は、Creative Commons Attribution Share-Alike 2.5ライセンスで提供されているので、自分でパーツを集めて基板を製作することが可能である(いわゆるオープンソース・ハードウェア。組み立て済み基板を購入することもできる)。
また、開発環境のソースコードと基板上のライブラリは GPL v2 ライセンスで公開されており、フリーで使用することが可能だ。

今までにも同様のシステムは存在していたが、開発環境の準備でさえハードルが高く、また価格も非常に高価だった。
しかし Arduino は、MacOS・Windows・Linux等、色々なOSに対応していること、安価なこと、Adobe Flash等ホストコンピュータの上のソフトウェアでも制御できるなど様々な利点を持ち、現在もシェアを広げている。

Arduino プロジェクト公式サイト:http://www.arduino.cc/

プロダクト・デザイナーにとって、このシステムを使用するメリットは、実際に機能する試作品を作成すること(プロトタイピング)が可能になるという点である。
何か電子機器的なプロダクト・デザインを行うとき、機器の入出力のデザイン(ふるまいのデザイン)を行う必要がある。
しかしそれを一から十まで作成しようとすると、プログラミングやサーキットの設計など、高い壁を乗り越えなければならない。

例えば、スイッチ・電池・モーターを導線でつなぐ(サーキットの設計)を行うと、スイッチを押す(入力)→電気が流れる・モーターが回る(出力)という「ふるまい」をデザインできる。
このレベルであれば、小学生の知識でもできるだろう。

しかし、水温が100℃上がったのを探知する(入力)→袋を破って、乾麺をお湯に投入する(出力)という機械を作るとすると、相当な技術と工数が必要なのは理解してもらえるだろう(ピタゴラスイッチ的な方法で実現するならば別として)。

そのような壁を低くしてくれるのが、Arduino というシステムである。
一番面倒な部分が準備済みであり、また基本的な構成は多くの人々がネット上で公開している。
そのため、プログラムやサーキット設計がまったく初めてでも、公開されている情報を組み合わせることで、ある程度のプロトタイピングが可能なのだ。

ということで今年はコレの勉強を始めてます。
今はナイトライダーのセンサー(古いなぁ)を作っているところです。
ネットで検索すると、それ用のプログラムとかサーキットの設計図が多数公開されていますね。
勉強のため、色々いじくり倒しながら進めているので時間がかかってますが、慣れた人なら一日もかからず作れますね。
いやぁ、イイ時代になったものだ。

最終的には Arduino を使って、ロボットを作ってみたいですねぇ。